噛んで、DESIRE




バチッと目が合って、心臓が飛び出そうになる。

金髪からのぞく瞳が、わたしを捉えて離してくれない。


そのまま動けずフリーズしてしまう。

メデューサに見つめられたらこんな感じなのかな……と思いつつ、控えめに見つめ返す。


会話があるのかと思えば、そうではないらしい。

ひとことも喋らず、わたしのことをじっと5秒ほど見たあと、彼はすぐに目を逸らして寝る体勢に入った。


何事もなかったかのような動作に、目を瞬かせる。


ただ……目が合った、だけ、だよね?


途端に肩の力が抜けて、小さく息を吐いた。

クラスメイトに見つめられてこんなに緊張するなんて、おかしな話だ。


でも吾妻くんはいろんな意味で、ほかの人とは違うのだから仕方がない。




……いまのは、なんだったんだろう。


うるさい鼓動がおさまることなく、その日は放課後までずっと、吾妻くんのことが頭の中を占めていた。