噛んで、DESIRE




ああ、どうしてわたしはこんなに大胆になってしまったのだろう。

ぜったいに、彼に噛まれたせいだ。

猛毒が回っている。


治ることのない病にかかっている。


彼が年上だと思うと、胸が苦しくなる。

手をどれだけ伸ばしても、うまく掴める気がしない。


だから、いま一瞬だけ、大人を象徴する煙草の匂いが嫌になった。


「……やっぱり、やだ」


思わずこぼれた言葉に、吾妻くんが問い返す。


「ん、やだって、なにが?」

「……匂いが、やだ」


「匂い? さっきは大丈夫って言ったのに」

「……大丈夫じゃ、なくなりました」