噛んで、DESIRE




意地悪されて、呆気なく口を噤む。

わたしが拗ねたと思ったのか、吾妻くんは苦笑して言った。


「杏莉ちゃん慣れてねーもんな?」

「……吾妻くんとは違うんです」


「ちょっと煽ってんな、それ。まあ杏莉ちゃんより2年も多く生きてるからさ?」

「……その昔は、彼女とか、いたりしたんですか」


「その昔とか言うのやめろ? まあ普通にいたけど」



……いたんだ、彼女。

そうだよね、吾妻くんだもん、いないわけがない。


でも聞いた途端、胸の奥で黒いドロドロした感情が湧き出てくるのを感じて、慌ててしまい込む。


自分で聞いたのに、衝撃で何も言葉が続かない。

だんまりを決め込むわたしに、吾妻くんは口角を上げて言った。