噛んで、DESIRE



「吾妻くんは……なんでひとり暮らししてるのって、聞かないんですね」


彼もなんらかの事情を抱えているのはわかっている。

叔父さんの家に転がり込んでいるのだから、きっと隠しているものがある。

だけど、わたしとはきっと違う事情なのだと思う。


聞いてこない吾妻くんの優しさが心地よかった。

だけど、少しそんな彼を知りたいと思い、自分から過去を掘り返す質問をしてしまう。


わたしの問いに、彼は困ったように目を伏せた。

その仕草は色っぽくて、でも儚かった。



「ひとりのほうが楽なときもあるからね」


背景の見えない言葉に、こくりとうなずいた。

お互いそれ以上話を深く掘り下げるつもりはなく、他愛もない話を吾妻くんから振ってくる。