噛んで、DESIRE



さすが華道を習っていただけあってか、吾妻くんは見逃さずに見つけてくれたようだ。

だけど、嬉しいと思う反面、すぐに自分の心が否定する。

わたしにセンスや才能など……あるわけないのだから。




「……そんなこと、ないんです」



せっかく吾妻くんが褒めてくれたのに、わたしはそんな元気のない言葉しか返せない。

明らかに声のトーンが低くなったわたしに、彼は察しがついたのか、気の抜けた返事をする。


「そ? 俺は結構良いと思うけどな」

「吾妻くんは……優しいですね」


「何が。本心まんま言葉にしただけじゃん?」

「……あり、がとうございます」


お世辞でも嬉しかった。

認められたことなんか、いままでなかったから。


自分さえ自分を認めてあげられたらそれでいいと思っていたのに、彼の言葉が思いのほか胸に沁みて、少しだけ泣きそうになった。