噛んで、DESIRE



だけど虚しく彼に布団をべりっと剥がされ、仕方なく無意味な抵抗は止めにした。

吾妻くんは何を考えているのかわからない表情で、わたしを獣目で見つめてくる。



「学校で目合ったときは、ツンとした顔してんなって思ってたし」

「……目、合ったの、覚えてたんですか」


第一印象がわるかったことより、そちらに驚いてしまう。

だって昨日、わたしのこと思い出すのに時間かかっていたから。


記憶の隅にもないものだと思っていたけれど、そういうわけではなかったのかもしれない。



「だって杏莉ちゃん、独特のオーラあるじゃん」

「独特って……褒めてるんですか、それ」


「褒めてる褒めてる。目で追っちゃう感じ」

「そう……ですか」