ためらうことなく吾妻くんは、わたしの首筋に顔を埋めた。
くすぐったくて身をこわばらせると、彼はくすりと笑う。
「杏莉ちゃんにハマりそうなの、どうしてかわかったかも」
首筋に熱い感覚が灯る。
どうしよう、止めなきゃいけないのに、止められない。
吾妻くんは平然と喋っている。
突き放したいのに、思うように動けない。
彼は平気でも、わたしはすでに溶けそうだ。
「逃げられると俺、捕まえたくなるんだわ」
そのままかぷりと、耳を噛まれた。
少しだけ痛くて、でも甘い。
よくわからない感情に苛まれ、いますぐここから逃げ出したい衝動に駆られる。
それすら叶わない。
だって、吾妻くんの毒はもう、噛まれた時点で回ってしまったのだから。



