「何でこんなこと……」 わからない。 吾妻くんの意図も、本心も。 おかげで惑わされて仕方ない。 「魔が差すって、こういうことを言うんだろうね」 「な、なに言って……」 「俺の誠実さを奪った杏莉ちゃんが悪いよねってコト」 「どこが誠実なんですか……」 誠実なんて言葉、吾妻くんには似合わない。 彼は、キケンで麗しい猛毒だから。 吾妻くんの鼓動は規則正しい。 それがまた悔しくて、意味もなく平静を装ってしまう。