「いや、だから俺はソファで良いって」

「だめです! ベッド使ってください」

「もー……ありがたいけど、杏莉ちゃん強情すぎ。何回この会話すんの」



だって、吾妻くんをソファで寝かせるなんて、全わたしが許せない。

ソファだってそこまで狭くはないけれど、寝るのには背の高い吾妻くんにとって少し窮屈だと思う。


そんなわたしの気持ちもわかってか、金髪の彼は困ったように眉を下げた。


「俺は泊まらせてもらってるし、それに、女の子ソファで寝かせるとか普通にないから」


そんなかっこいい台詞をまじめに言ってしまう吾妻くんは、すごく優しいと思う。

でもその優しさの裏に、こういう状況に慣れているんだろうという少しの棘が潜んでいる。