抱きしめているおかげで、顔が見えない。
だけど吾妻くんがいま、少し弱った表情でわたしの肩に顔を押し付けているんだろうなと察する。
こんなふうに少しだけ子どもっぽいところが、甘えたなところが、わたしを頼ってくれているみたいで嬉しいのだ。
「……ご褒美、ですか」
「そう。なんかない?」
「えっと……、あ、ケーキ作りましょうか?」
「んーそれはかなり嬉しいけど、ちょっとちがう」
「じゃあ……ヨシヨシ、とか?」
「赤ちゃんか俺は」
「ええ……でも、もう何も思い付かな────」
そう首を傾げた途端。
家の扉に背中を押し付けられ、唇を塞がれた。
びっくりしすぎて、目は開けたまま。
深く溶けそうなほど熱いキスが、わたしの脳を制御不能にしてくる。



