噛んで、DESIRE



……大丈夫、きっとどうにかなる。

弱い自分を変えたいと思えたのは、吾妻くんのおかげだから。


強くて優しい吾妻くんがそばにいた日々を思い返したら、自然と勇気が湧いてくる。


いつもなら黙って従うけれど、もう、自分の人生を妥協しないと決めたのだ。


「……言葉の通りです」

「おまえに……拒否権があると思っているのか?」


息苦しい、早く帰りたい。

でも、帰っても吾妻くんは家にいない。


彼の温もりも、もう忘れそうだ。

……いま、吾妻くんは何をしているの?


寂しい気持ちを堪え、父をまっすぐな瞳で見つめる。

負けないように、きちんと言葉を伝えようとしたのは、……これが初めてだ。



「わたしの人生はわたしが決めます。縁談は、断らせてください」