「……、どうして、わたしに?」
混乱のあまり、尋ねてしまう。
すると、父は一層声を低くして唸った。
「相手方によると、四宮の名を継ぐ縁談ではないらしい。もちろん家元を継ぐのは純恋だ。それはおまえもわかっているはずだが」
「それは……もちろんです」
いまはそれどころではない。
正直いま、純恋がどうとか跡継ぎがどうとか才能がどうとか、どうでも良かった。
ただ、いまの状況的に無理やり結婚させられそうになっているのがわかり、頭が真っ白になる。
「純恋ではなくおまえを選ぶなど、物好きがこの世にはいるものだな」
今回ばかりは父に賛同した。
だって……、どうしてわたし?
もっと優秀な妹がこの家にはいるのに、わざわざわたしを嫁がせる意味がない。



