噛んで、DESIRE



嫌な予感がする。

だけどいまさら否定など出来るはずもなく、小さくうなずいた。


「……そう、です」


か細い声は、父に届いたかはわからない。

だけどすぐに父の纏う空気が冷たく変わり、わたしの心も同じように冷えていく。



「────ふざけてるのか?」



冷酷無慈悲の声が耳に入ってくる。

父の顔を見ることが出来なくて、俯いて唇を噛み締めた。


「あんな駄作で四宮を名乗られるなんて、親として情けない。おまえは……家元の名を汚す気なのか?」


父からの心ない言葉は慣れているはずだ。


だってわたしは、才能がないから。

決して出しゃばってはいけないのだから。


……ああ、だめだ、泣いちゃだめ。


いまここにはクラスメイトもいる。

心配かけないように、毅然と振る舞わないといけないのに。