噛んで、DESIRE



本当は、わたしは華道が大好きだ。

小さい頃からずっと触れていた芸術だということもあるけれど、それ以上に華道という概念ごと愛している。


だけど才能がないことに絶望し、実家を出てからはなるべく封印するようにしていた。

そのくせ自分の家にはお花ばかり置いているのは、諦めきれていない証拠だ。


やめようと何度も思っているのに、いつも実行出来ずにいる。

そんな自分が不甲斐なくて、それ以上に才能がないことが辛くて、父の言葉を思い出して、泣きたくなる。


だけれど背中に吾妻くんが張り付いているおかげか、心は冷え切ることなく、温もりが灯っていた。


……と、少し心の中で褒めた途端、吾妻くんの手がわたしの服の中に入ってくる。

思わずびくっとして肩を揺らせば、彼は楽しそうに笑った。