噛んで、DESIRE



九条さんが目を輝かせて、わたしの手をぎゅっと握った。

心から褒めてくれているのだとわかって、胸がじーんと温かくなる。


……わたしが、才能がないと捨てられたわたしが、必要とされている。

ずっと自信がなかったのに、少しだけ背伸びできている気がする。


澪子の顔をちらりと見れば、彼女はわたしよりも嬉しそうに頬を緩ませていた。


「うわっ、すご! これ四宮さんが生けたの?」

「ガチの華道初めて見た……」

「さすが実家が家元なだけあるね……」


九条さんの声につられたのか、クラスメイトがてんやわんやと騒ぎ出す。

わたしが家元の娘だということは、かなり知られているのだと実感する。


……父に、バレてしまったらどうしよう。

家の名を汚すなと言われてしまったらどうしよう。