噛んで、DESIRE



「杏莉はね、生け花がすっごい上手なの。ほら、これ見て」


スマホをスクロールしながら、澪子は嬉しそうに写真を九条さんに見せる。

その写真は、わたしが過去に生けたお花の写真や家に飾っているものを撮っており、かなり恥ずかしい。


だけど少し前までみたいに、自分には才能がないから見てほしくない……というネガティブな想いは不思議と湧いてこなかった。

それは、わたしの生けたお花を、手放しに良いと褒めてくれる澪子や吾妻くんがいたからだった。


「えっ、すごい! 四宮さん、天才だよ!」

「ぜんぜん……っ! そんなことないよ、本当に」


「ううん、わたし素人だけどとても綺麗だってわかる。四宮さんの作品が入口に飾ってあったらぜったい華やかになるし、お客さんもたくさん来るよ!」