噛んで、DESIRE



ふと黒板を見ると、そこには出し物の候補が書かれていた。

執事喫茶、メイド喫茶、劇、焼きそば屋台……など。


どれも楽しそうだなあと思いながら、吾妻くんの執事姿を想像する。

キラキラスマイルなんか似合わないくせに、にこにこしちゃってスーツを着ている姿。

彼のまわりにはきっと、バラやらなんやらが華やかに飛んでいるだろう。


……だめだ、どうしたって刺激が強すぎる。


ひとりで妄想しては頭を抱えていると、突然吾妻くんが低い声で言った。


「メイド喫茶とか、ぜったいナシね」


ニコッと黒い笑みを浮かべて、文化祭実行委員の子に笑いかける。

手を挙げて発言したわけでもないのに、吾妻くんの低い声が聞こえてしまった実行委員の子は、慌てて黒板消しを掴んで“ メイド喫茶 ”の文字を消した。