噛んで、DESIRE




まさか推定50代の仁科さんが高校生になったわけではあるまいし、ぜんぜん納得できない。

はっきりとそう言えば、吾妻くんはなんでもなさそうに答えてくれた。



「その“仁科さん”ってのは、俺の叔父さん。母方のほうだから、苗字ちがうんだわ」

「お、おじさん……?!」


びっくりして声を上げてしまったけれど、言われてみれば、そんな気もしてくる。

仁科さんはかなり雰囲気のあるダンディーな人だし、吾妻くんの美しさを考えれば、血のつながりがあるというのも、納得できてしまう。


……美形一家だ。

うらやましく思いながらも、まだまだ謎が残るわたしは、さらに質問を重ねる。


「えっと……でも、わたしこのマンションで吾妻くんを見かけたことないですよ」

「あー、だって俺、いつも帰んの深夜1時とかだし。そりゃ会わないでしょ」


さすがに噂通りの不良さんらしい。

わたしなんてどれだけ遅くても22時には家に着いているから、考えられない。


「い、1時……。遅い、ですね」

「まあ、帰りたくないってときもあるんだよ」