噛んで、DESIRE



吾妻くんは、みんなが思っているよりずっと弱い。

キケンな雰囲気も、彼が意図して纏っている。


わたしが知らない数年間、彼はきっと孤独だった。



「留年2回もすりゃあ、親も諦めつくかなと思ったんだけどさ。いまだに俺を待ってるだなんて言われると、さすがにしつこいよな」


そして吾妻くんは、わたしたちが思っているよりうんと幼かった。

だけど、ふっと痛ましく微笑む表情は麗しくて、手が届かないほど遠い存在に思える。


矛盾だらけの彼は、困ったように笑って口を開く。


「逃げてばっかなのはわかってる。継ぐのが嫌なんじゃなくて、俺は自由に生きたいんだよ」

「……わかり、ますよ」


「ん。決められた人生じゃなくて、自分で切り開いていきたい。だけどそれは、はたから見れば我儘で青臭いんだろうな」