吾妻くんが背負っているものの一部は、そのゴールの重さだろう。
身勝手な大人の事情を押し付けられ、反発したくなるのはもちろん理解出来る。
「日常生活ではそこまで干渉してこなかったけど、父は俺が跡継ぎになるのは当然のことだと思ってた。だから高校に入ったとき、溜まっていた不満が爆発したんだよ」
吾妻くんは話をしながら、わたしの頬を両手で包み込んだ。
部屋の照明に反射して、ピアスがきらっと光る。
眩しくて目を細めると、彼は口角をあげて続けた。
「『息子の将来を当たり前のように操作すんなよ!』っつって、実家を出た。それで叔父さんの家に転がり込んだんだ」
「それで、仁科さんのところに……」
「そ。まだまだ子どもだった俺には、縋れる場所が叔父さんのとこしかなかったんだよ。だけど迎え入れてくれる叔父さんの優しさが時に辛くて、でも父に反発したくて、夜の世界に踏み入れたこともちょくちょくある。学校もサボったし、いつも夜は眠れなかった」



