だめだ、いつもの吾妻くんのペースに乗せられてしまう。
今夜は少しまじめな話をしようと思っていたのに、これじゃあ無理だ。
……こんなだから、従順だなんて言われるんだ。
なんとか理性を保って、離してくれない吾妻くんに、勇気を出して話題を振った。
「吾妻く、ん」
「んー?」
「……サキさんという方は、吾妻くんのことを、よく知る人なのですか」
途端に、抱きしめてくる吾妻くんの腕が弱くなった。
土足で踏み入れるのではなく、ただ寄り添いたいだけ。
そう思っているわたしの気持ちが伝わりますように……と願いながら、彼の返答を待った。
すると、吾妻くんはわたしの肩を掴んでくるりと回すと、真正面から向き合ったわたしに言った。
「知りたい?」



