「わたしは、……落ち着かないですよ」
吾妻くんに触れられると、心の平穏が乱される。
緊張して身体は固まるし、威勢の良い言葉も出なくなる。
本当に猛毒みたいな人だなと思いながら、後ろにいる彼に顔が見えないようにうつむいた。
「知ってる。杏莉ちゃんの心臓すっげえうるさいもんな?」
「……っな、わかっててやってるんですか」
「純情な杏莉ちゃんが見たくて?」
「……吾妻くん、意地悪ですよ」
「なにをいまさら」
はは、と軽快に笑う吾妻くんは、なんてことないように首を振る。
こんなに速い鼓動を聞かれているのがすごく恥ずかしくて、耳まで真っ赤になるのを抑えたくてもどうにも出来ない。
そうしているうちに、吾妻くんの手はわたしのお腹に触れ、ドキドキが加速する。
「……っ、離してください」
「はは、ヤダ」
「〜〜っ離さないと、突き飛ばしますよ!」
「ん、やれるもんならやってみな?」



