わたしの辛さを知らず、吾妻くんは少し位置をずらして鎖骨を噛む。
その痛さが熱を帯び、自分が単純すぎて嫌になる。
「……っ、吾妻、くん」
それ以上噛まないでほしくて、小さく声をかける。
ピタリと止まった彼は、細めた目でわたしを見た。
「どーしたの」
セットされた金髪は、不思議なくらい柔らかそうだ。
触れたい衝動に駆られながら、なんとか声を振り絞る。
「わたし……、どうしたら、可愛くなれますか」
吾妻くんがそう思ってくれるのは、どんなとき?
少しでもドキドキするには、どうしたらいい?
未経験すぎて、わからない。
吾妻くんに噛み癖があることも、その意図も、ぜんぜんわからない。



