噛んで、DESIRE


わたしの顔を余すことなく、じっと見つめている吾妻くん。

彼はそうして眉を下げて、苦笑する。



「……そんな顔しちゃってさあ」



そんな顔って、どんな顔?

聞きたいけれど、知りたくない。


いまぜったい、情けない顔をしているから。

だって、彼に触れたいと思ってしまったから。


吾妻くんのお顔が近付いてきて、ギュッと目を瞑る。

ドクドクとうるさい心臓なんて、知らないふり。


苦しいくらいの甘さに溺れながら、彼の低い声が耳に入ってくる。


「ほんっと杏莉ちゃんさ、俺が悪い奴だったらどうすんの?」

「……吾妻くんは、悪い人じゃ、ないので」


「あーそう思う? きみには柄にもなく優しくしちゃってるからね」