ほら、また変なこと言う。
わたしなんか、美味しいわけない。
そもそも、味などしない。
でも吾妻くんなら、本気でわたしを丸ごと食べてしまいそうだ。
そう思っている自分がいるから、少しキケンを感じて後ずさる。
「……おいしく、ないです」
「はは、じゃあ味見してい?」
「う、……また、噛むんですか」
「かるーくね」
軽いわけがない。
このまえだって、少しだけ痛かった。
でも、熱くてピリッとする感覚は、病みつきになりそうで。
それを求めているのは、彼だけでなく、わたしもだった。
「……ちょっとだけ、です」
そしてわたしは、どこまでも可愛くない。
こんな自分、やめたいのに。
吾妻くんの思いどおりになるのは、すごく嫌で、だから天邪鬼に拍車がかかっていく。



