噛んで、DESIRE



「からかったわけじゃなくて、もっとしてってコト」

「……もっと?」


「そ。杏莉ちゃんの上目遣い、結構好き」


そう言って首を傾げる吾妻くんは……、あまりにも策士だ。

ああ、もう、心臓がうるさい。

視線から逃れたくても、やっぱり無理だ。


彼を思いっきり突き飛ばすことだって出来るはずなのに、甘い空気を吸ったせいで脳が溶けてしまう。

“ 好き ”というワードに異常に反応してしまい、それを取り繕うように言い訳を並べる。


「……わ、わざとじゃなくて」

「ふは、そんなのわかってるって。杏莉ちゃん、そんな器用じゃねえもんなあ?」


目線を合わせるように、吾妻くんは屈んでくる。

少し顔をのぞき込むように見つめられ、ドキドキが加速していく。