噛んで、DESIRE



「あ、わ、わたしは……」



こんな騒ぎを引き起こした当の本人、吾妻くんはというと、もうすでに素知らぬふりをしていた。

……自由だなあ。


困ったように眉を下げる三原くんを見ていると、どんどん気の毒に思えてきて、首を縦に振りそうになる。

だって、断る理由もなかったから。


だけど、ふと隣から黒いオーラを感じて、おそるおそる見上げると。

澪子が参ったように額を押さえて、わたしに尋ねてきた。


「杏莉……何やらかしちゃったの?」

「え、っと……」


「吾妻くんに指名されるなんて、どうしちゃったの……」