「わたし、山田探してくるっ」
「え、ちょっと華子……!」

 だってもし何かあったらわたしのせいじゃん。
 いくら山田がウザいって言ってもさ、この世からいなくなって欲しいとまでは思ってないし。

 すっかり日の沈んだ外に飛び出して、急いでロッジの裏手に回った。
 ってか、さっむ。コートも着ないで飛び出してきちゃったよ。

(ちょっと一回部屋に戻るか)

 これじゃわたしが凍死しそうだし。
 そのとき目の前をびょおっと雪が吹き荒れて。
 あるぇ? なぜか目の前が真っ白なんですけれど。

(え? いま出てきたばっかだよね?)

 すぐそこにロッジの入り口があるハズなんだ。
 あるぇ? なんで歩いても建物にたどりつかないんだ?

 ここはいっそ裏山の小屋に向かうか。うん、そうしよう、そうしよう。

 あるぇ? 方向転換したのに、どこにも行きつかないんですけど。
 あるぇ? あるぇ? あるぇ……? 

 歩けど歩けど、白い世界が広がるだけだ。
 それどころか吹雪で足元がどんどん埋まってく。
 ってか、めちゃくちゃ寒いっ。

 え? え? どゆこと?
 もしかして華子、絶体絶命?

 っていうか、どうして悪役令嬢が遭難イベントまで肩代わりしなきゃなんないのよっ。