緒臣くんのキケンな誘惑。




もし帰る方向違ったら、一緒に帰るも何もないからなあ……。

周りからの目線が気になりながらも、必死に気づかないようにする。

門の近くまで来て、右と左に道が別れている。


「紫夕は左?」

「え?うん、左……!」

「俺と一緒」

「…え、そうなの……!?」


帰る方向一緒だったの……!?

笑った緒臣くんはさりげなく私の手を取って歩き出して。

それに驚いて顔に熱が溜まってしまう。
……っ、いつも当然のように手繋いでくるじゃん……!


左に曲がって、緒臣くんが車道側を歩いてくれる。

そんな細かい気遣いにドキッとして、さっきから緊張が解けない。


「ふっ、紫夕どうかしたの?」

「っえ!?い、いや……その……」

「もしかして、こうやって男と帰るの初めて?」

「う……っ」

「…じゃあ俺、紫夕の初めて奪ったってことだね」

「……っ!」


な、な、な……っ!!!