緒臣くんのキケンな誘惑。




それにピタッと動きが止まり、かああっと顔に熱が溜まる。

そんな私を見て意地悪そうに笑った緒臣くんは教室を出ていった。


ポカーンと私も三人も無言になってしまう。


「……紫夕のこと触ったって、本当だったんだ……」

「とんでもないものを見たような……」


そう三人の声が聞こえて、三人の方に振り向くと同時。

朝のチャイムがタイミングよく鳴って、芹奈と音寧はボーッとしたまま席に戻った。

愛海は私の方を見ながら驚いたように口を開いた。


「…ちょっと、紫夕と天沢くんって本当に初対面だったの?」

「そのはずなんだけど……」

「……その割には惚れ込みすぎじゃない?」

「ほ、惚れ……っ!?いや、私惚れてないよ……!」

「はあ?紫夕じゃなくて天沢くんのほうがだよ」

「な…っ、そんなわけ」


何言ってんの愛海……!!
何回も言ってるじゃん初対面だって!!

王子様みたいな緒臣くんが私に距離近いのは、ただ私をからかってるだけだからだよ……!

変に意識してしまって、顔の熱を冷ますようにパタパタと手で仰ぐ。