緒臣くんのキケンな誘惑。




私の手に持ってるカップケーキを確認すると、緒臣くんは私の手を握って走り出した。
驚きながらそれに続く私の後ろから悲鳴が聞こえてくる。

…っ、なんか、緒臣くん楽しそうじゃない……?


そう思いながら走って着いたのは非常階段だった。


「…っ、は、走る必要…っ、あった……っ?」

「つい嬉しくて。一刻も早く二人になって抱きしめたかった」

「……っわ!」


軽く息切れする私と、全く疲れた様子じゃない緒臣くん。
体力の差ありすぎ……!
と思っていると、緒臣くんは私のことをギュッと抱きしめてきて。

思わずカップケーキを落としてしまいそうになり、ギュッとしっかり手で握った。


「あ、あのね……カップケーキ本当は一個なんだけど、もう一個譲ってくれて」

「…それで、俺にくれるの?」

「うん……一緒に食べたいなって。あと……他の人のじゃなくて、私があげたやつ食べてほしいな…って」

「……っ、ちょっとまって、あんまり可愛いこと言わないで」