緒臣くんのキケンな誘惑。





いつもは無表情でいるのに……今は不快感が表情に出ていて。
……いや、違う。きっといつもと同じ無表情。
私が、緒臣くんの表情で感情を読み取れるようになってきたんだ。

段々声も聞こえるぐらいの距離に近づいてくる。


「緒臣くん、お願い私と連絡先交換しよ……?」

「今日は私と一緒に帰らない?」

「まじかっこいい付き合いたい〜!」


……うわあ。
甘ったるい声が飛び交っていて、思わず顔を顰めそうになってしまう。


「…あれさすがにやばいんじゃない?」

「見てるこっちも不快だってのに、天沢くんからしたらとんでもないよ」


芹奈と愛海がそう呟いていて、私の心の中がザワザワと変な感情に覆われる。

自分の胸に手を当てながら緒臣くんの方を見ると。

……っ!
緒臣くんの顔色が段々と悪くなってきているように思えてヒュっと喉の奥が詰まる。