魅惑の絶対君主



思い返せば、以前もそうだった。


スーパーのお惣菜をひとりで食べるより、お母さんが下手ながらも作ってくれた卵焼きのほうが美味しかった。


一緒にテーブルを囲んで食べるときはもっともっと美味しかった。


そういえば昨日カップラーメンを食べるとき、向かいに相楽さんが座っててくれたっけ……。



そんなことを考えながらお箸を進めていると、再びダイニングに相楽さんが入ってきた。



「仕事行ってくる」


それだけ告げてすぐに出ていこうとするから



「あっ、待って……」


つい引き止めしまったけど。



「うん?」

「あ……」


特に言いたいことがあるわけでもなく、慌てて頭を回転させる。



「わ、わたしを置いて出かけても大丈夫なんですか……?」