魅惑の絶対君主



そんな声が小さく落とされて。

直後、すうっと体温が失せる。


水を浴びたように、頭も一気に冷静になった。



……そっか。

相楽さんがこんなことをするのは、自分の欲を満たすためでも、もちろん、わたしを可愛がるためでもない。


わたしが高く売れるようにするため……

“価値のある商品にするため”……だ。



そういえば、相楽さんもさっき言ってたじゃん。

『俺が仕込まないといけないね』って。


直前に本を使ってからかわれたから、同じくからかわれたんだと思ってスルーしてしまった。



いや、そうじゃなくても、ここに連れて来られる前からわかってたことじゃん。


お前は商品だ、って、言葉でも視覚でもわからせられてたじゃん。