魅惑の絶対君主



初めての感覚にびっくりして、思わず相楽さんの手をぎゅっと掴むと、くすっと笑われた。



「可愛い声でなけるじゃん、えらい」


さっきとは打って変わって、甘い甘い声が鼓膜を揺らす。


一段と狂った音を立てる心臓とは裏腹に、どこかふわふわした感覚が体を支配して……。



このままだと、――”溺れる”。

そんな言葉がぴったりな気がした。


怖い……知らないところに落とされるのは。

怖いのに……この先を知りたいと思ってしまって。



そんな矛盾にまみれておかしくなっちゃう前に、やめなきゃ、って。



「ご、ごめんなさぃ、」


考えるより先にそんなセリフが口をついて出た。



「わたし……ほんとは、こういう経験、全然ないんです……。それどころか男の子と付き合ったこともなくて、……う、嘘ついて、ごめ……なさい」