魅惑の絶対君主



相楽さんのセリフを反芻してなんとか意味を理解すると、お風呂でせっかく温まった体が急激に冷えてしまった。


そんなわたしを、相楽さんは『話が理解できていない』と捉えたらしい。



「あーえっとね、愛人とか愛玩具ってのはつまりセッ──」

「だっ、大丈夫、です。わかってます……!」



動揺しながらも、自分に言い聞かせる。

従順に、従順に。



嫌がる素振りや怖がる素振りを見せちゃいけない。

すべては、相楽さんを油断させていつかここから逃げるため。

自分の置かれた状況を、すんなり受け入れたふりをする。




「わたしを買ってくださった人の……体のお相手をすればいいんですよね」

「まあ、そうだね」

「そんなことだったら、全然余裕です……」



――それが裏目に出るなんて、思いもせず。