「なあ、どうしちゃったの。オークション会場では自分からぎゅって繋いできたくせに」
「えぅ……、そ、」
そうだったっけ。
そうだったかもしれない。
でもあのときは怖さのあまり……って感じだったし、今とは状況が全然違うし……。
「男に抱かれたことある?」
瞳に射抜かれて固まった。
男の人に抱かれたことがあるか。
たしか前にも同じ質問をされた。
「あん……まり」
答えたくない気持ちと、従順にならなければいけないとい使命感がぶつかって、曖昧な返事が零れ落ちる。
「そ。じゃあ、俺が仕込まないといけないね」
煙草の煙を吐き出すような、気だるげなため息を吐いて。
相楽さんはわたしの手を取ると、ベッドのほうへと導いた。



