そこまでまくし立てた瞬間、じわっと涙が滲んだ。


それがスイッチになって、うわーんとみっともなく声を上げて泣いてしまう。



「あーよしよし、ごめんね」



相変わらず機械みたいな棒読みだ。

でもそれすら愛しい。



「俺も、1年も謹慎受けることになるのは予想外だったんだよね」

「うぅ……そんなこと言って、最初から迎えに行く気なんてなかったくせに……」


「うん。なかったよ」

「………」



また、悪びれもなくそんなことを言う……。



「だって俺が迎えに行ったら、冬亜は他の男に抱かれることになるでしょ……こんな風に」


「ひゃあ……っ」



トン、と押された体が、あっけなくベッドに沈む。


目の前に影が落ちて、唇が重なった。


「ん……っ、う」



1年前と同じ体温がわたしを捉える。


指先が輪郭を優しくなぞると、あの日々の熱がすぐに蘇った。


うっかり、すぐ溺れてしまいそうになる。
……だけど。



「え? えっと……もうオークションはないんですよね?」

「……は? 俺がなんのために取り調べで洗いざらい晒して事務所潰してやったと思ってんの」


「そ、うですよねっ。だったらなんで……あ、同情ならいらないですよ……っ」



なんとか働いた理性が止めに入る。



「同情?」

「えっと、わたしが相楽さんのこと好きだから、キスしてくれたんですよね……?」


もう訓練の必要はないのにキスをするなんて、そうとしか考えられない。



「冬亜がなに言ってるかわかんないんだけど」

「ええっ、だって、好きでもないのにこういう、こと……」


申し訳なさに語尾がゴニョニョと小さくなる。