魅惑の絶対君主



すると、相手は何を思ったのかふと足を止めた。



「ウチが借金にまみれた女どもをどうして風 俗に流すんじゃなく、オークションに出すのかわかるか?」


「……、え?」


予想外の質問に首を傾げる。



「外部に足がつかないようにするためだ。万が一店が告発されて、その女の身元を調べられれば捜査の目がウチにも向く危険が出てくるからな」



そっか。

たしかに自社が主催するオークションなら、その可能性はなくなる……。



「それほどウチは徹底してんだよ。だから、オークション商品の管理は、信頼のある人間にしか頼まない」


「……その一人が、相楽さんってことですか?」


「ああ。そして俺が判断するに相楽はその中でも一番優秀だ。なんたってあいつは恐ろしいぐらい人間に関心がねぇからな」


「……関心がないって、どういう……」


「普通の人間なら、“仕事”っていう名目をいいことに、私利私欲でその女を使い始める。相楽にはそれが一切ない」