魅惑の絶対君主



電話もないし、今どうしているのか知る術がない。


幸い、明日は土曜日だから眠れなくても問題はないんだけど……。


大丈夫。

アパートにいた頃は、ひとりで眠ることのほうが多かったんだし。



そう言い聞かせて、ぎゅっと目を閉じる。

ベッドの上で丸くなっていたら、徐々に眠気がやってきた。


──そんなときだった。


静かすぎる部屋に、ピンポーン……とインターホンの音が響いたのは。


すうっと背筋が冷える。


こんな真夜中にインターホンが鳴ることある?

相楽さんが自分で鳴らすことはない。


空耳? 不審者? ユーレイ?


泣きそうになりながらタオルケットを頭まで被ると、もう一度音が鳴った。


空耳の線は消えちゃった……。


すると今度は、扉をドンドンドン!と叩く音。


いよいよ涙が出てくる。


タオルケットを被ったままそろりとベッドを下りて

震える手でインターホンの「応答」をタップした。