まずは罰としてマダム・リーズの魔法で首から上に変身術をかけられた。
 どす黒い緑色をしたトロールの頭部は悪臭を放ち、クラスメイトたちにまで迷惑をかけてしまった。

 意地悪いジゼルとその崇拝者たちには『悪臭を洗い流す』という名目で頭から大量の水を浴びせられたし、指導教師たちからもあからさまに嫌な顔をされた。

 エリアーナは魔法が使えないので、衣服や髪が濡れたってどうする事もできない。

 ——アンに乾かしてもらえなければ、帰りに馬車の座面を濡らして御者のアルバートさんに迷惑をかけてしまうところだった……!

 ここでは語り尽くせないけれど、他にもまだ《《いろいろと》》あるのだ。


 ——親愛なるクロード様。


 手のひらの下に敷いた、まだ真っ白な便箋をじっと見つめる。伝えたい気持ちは押し寄せるほど溢れて来るのに、一行目に綴る言葉が思い当たらず静かにペンを置いた。