またそこで、彼が結星くんじゃないことを実感した。

いつだって私の涙を拭ってくれた結星くんの手は……

‪”‬左手‪”‬だった。

いつだったか。

どこかのお店でカウンターに座った時。

箸を持つ手が違うことから利き手の話になったことを思い出す。

どうしてすぐに気付かなかったんだろう。

もうやだ……

頭が真っ白で。

ぐちゃぐちゃしてて。

よく分かんなくて。

「ごめんなさい……」

それだけ言って、走り去るようにホテルを後にした。


***

あれから私は学校に行けていなかった。

ずっと部屋にこもって。ひたすら泣いてた。

「うぅ〜……ぅ…うっっ、」

そばにいたかった……っ、

支えたかった…、もっと…っ、

お話したかったっ…

もうこの世にいないなんて……

信じられなかった。

紅嵐くんも海月くんもみんな知ってたんだ。

知ってたのに黙って……。隠して……

たとえそれが結星くんが望んだことだとしても、酷いよ……

でも1番酷いのは……


私だ…。