彼女バカかよ。

「……毎日電話かなんかで喋ってやったらいいだろ」

適当に言っただけなのに、俺の言葉を聞くなり「その手があったか!」と、結星は元気を取り戻したようだった。

「結星って、変なとこ抜けてるよな」

「そうか?」

「いや、今の時代そんくらいすぐ思いつくだろ」

「なんかあれだな。俺達双子だからさ、足して割ったらちょうど人間が出来上がりそうだな」

「なんだよそれ」

ーーそれから彼女が海外に行って。

結星の自室からは毎晩のように楽しそうな声が漏れていた。

「もしもし、羽瑠か?」

「おー!良かったな。楽しかったか?」

「すげぇじゃん」

「んー? 俺はな、最近はー…」

飽きることなく毎日毎日。小1時間は喋っていた。

「また電話かよ」

毎日電話かなんかで喋ってやったらいいだろ、と言ったのは俺だがまさかマジで毎日とは思わなかった。

今日も長電話を終えた結星に聞くと「そうなんだよ」と言って、笑った。

「羽瑠英語苦手だから、向こうであんまり喋り相手いなくて寂しいんだ」

「ふーん」

嫌味のひとつでもぶつけてやろうかと思ったが素っ気なく返事をすると、結星が面白がるように言った。

「あ、お前も喋るか!? 」

「は? なんでだよ!2人でイチャついてろ」

「はは、そうだな」