「………」
淋里の『ぶっちゃけ』に、一同黙り込んだ。
淋里は権力を望まない人間であると、自らバラした。
これが淋里の何かしらの策――である可能性も否定は出来ないが、琴理はなんとなく、淋里は口にしないことがあっても嘘をつける人ではないと感じていた。
本心を隠してはいるけれど、本心に反することは言わない。
むくり、と淋里が顔をあげた。不満百パーセントの表情である。
「あと僕、宮旭日の中に好きな子いるから企まれても困る」
「誰です?」
即座に心護が返した。そして淋里はためらうことなく口を開く。
「涙子ちゃん」
「えっ」
「……あー」
驚きの声をあげる琴理とは反対に、問うた本人である心護はうなった。
「淋里様、涙子さんがお好きなのですか……?」
「うん。全然相手にされてないけどね」
「それは……」
日頃の行いのせいでは? と思った琴理。
そもそも、好きな人がいるなら何故邸内であんな噂が流れているのか……。
(はっ! 淋里様が涙子さんをお好きなら、主彦さんのライバルになってしまうのでは……?)
涙子と淋里が顔を合わせた場面には一度しか遭遇していない琴理だが、あの感じでは涙子の方は……。
(……涙子さんが心護様側ということを抜きにしても、好意的な目では……なかった、ですよね……)
淋里が琴理と話しているのを目撃した涙子は土煙をあげながら走ってきて、慌てて琴理を淋里から引き離した。
淋里の交際関係のよくない話も涙子から知らされたのだ。警戒するようにと。



