「……先ほど妻も言いましたが、我々は淋里様を当主に、と思っているわけではないのです。大事な存在の命を救ってもらったという恩義のため、淋里様側を離れることもためらわれ……」
琴理の知らなかった真実(ほんとう)。
幼い頃に心護の許嫁となったため、両親はその事実を琴理に伝えられずにいたのだろう。
ましてや、心護との婚約の話は宮旭日当主からの打診だった。花園側から断ることは無理難題過ぎる話。
その裏で父と母が何を企んでいたしても。
はあ、と心護が息をついた。
琴理にもわかる。当主として支持しているわけではないのに、淋里側である。それは淋里を当主にと推しているよりも厄介だ。



