心護はため息とともに説明した。
「淋里兄さんからの入れ知恵……アドバイスだ。そう言えばあぶりだせる、と。……淋里兄さんが琴理に接触してきたと聞いて、数年ぶりに淋里兄さんと話したんだ。ああ、危険はないようにしておいたから心配しなくていい。そしたら淋里兄さんがずっと貫いてきた目的を、初めて知った」
「目的?」
琴理の反応を見て、淋里は「そー」と一本指を立てた。
「僕はね、当主になんかなりたくないんだ。絶対に」
「―――」
笑顔で、あっけらかんと言った淋里に、愛理以外の花園三人は驚き反応が遅れた。
「あの、宮旭日淋里様、遅くなりましたがどうぞおかけになってください」
そう言ったのは愛理だった。
「あ。ありがとー、愛理ちゃん」
にこやかに答えて、淋里は琴理と愛理の正面になるソファに座った。
「兄ちゃんの頃からだけど、僕を当主にってのは周りが勝手に騒いでただけなんだよね。僕は責任が発生するような立場なんて絶対嫌だ。臣下の立場である程度自由があったらそれがいい。だから心護が生まれて安心してたら、なんでか未だに僕が心護と敵対する土俵になっててさ。迷惑すぎ」
手を振り拒絶感をあらわにする淋里。
それも心護が初めて知った淋里の本心のようだ。
「では、何故わたしに――」
「あ、琴理ちゃんのその話は今別問題だから、また今度話そうね。そーいうわけでさ、花薗もなんで心護につかないのか、教えてくんない? どうすればこのレースから外れることが出来るか、僕も知りたいんだ」
淋里に不思議そうな顔で問われて、父は膝の上でこぶしを握った。



