最強退鬼師の寵愛花嫁


淋里の状態など訊きたいことはたくさんあるが、心護の話の軸はそこではないらしい。

心護がわざわざ花園の家に足を運んで、急く様子もないことから重症や命の危機ではないことはわかる。

琴理の問いかけに心護は、うん、とうなずいた。

「花園夫妻に、完全に俺につくと明言していただきたい」

(え?)

「それは……淋里様ではなく、心護様を当主に推す、とそういう意味ですか?」

「そう」

「ですがそれは……わたしが心護様の許嫁な時点で果たされているのでは?」

「そうでもないんだ。俺が琴理との婚約を望んだとき、花薗殿は所属する派閥などがなく問題がないと判断されて滞ることなく話は進んだ。……つまり、俺の父側であるということでもなかった」

「そうなのですかっ?」

琴理はてっきり、心護の許嫁に自分の娘を置いた時点で、花薗としては心護側になっているものだと『思い込んで』いた。

状況がそう読んで違和感がなかったから。

むしろそれ以外の選択の方がおかしいと感じる。

「そう。そして琴理を宮旭日へ、という打診は琴理が高校生になる前からあったんだ。けれど花園ご夫妻からは芳しい反応はなかった。――愛理嬢、これらから考えられることは?」

と、心護は愛理へ話を振った。

部屋着のワンピースにカーディガンを羽織った格好の愛理は、膝の上で手を組んで答える。

「父様及び母様、もしくはどちらかが、宮旭日様を完全に姉様の許嫁として考えていなかった。そして宮旭日様が叔父君の醜聞のお話をされたときのお二人の反応を見ると、それは母様の方かと。その目的は姉様のお相手に宮旭日淋里様の方をお考えだったから。現在跡取りは宮旭日様だと公言されておいでですので、もし宮旭日様の責で破談になった、跡取りから外れることがあった場合、許嫁の教育を受けている姉様はその次の跡取りとなるだろう宮旭日淋里様のお相手として選ばれても不思議はありません。ひとまずそこまででしょうか」

「あ、あいり――」

愛理が滔々とした説明に、琴理は面食らっていた。

そんなこと、琴理は一切考えていなかった。

そして心護が淋里の醜聞だと話したとき、両親の方を見ることもしていなかった。