最強退鬼師の寵愛花嫁


+++

「琴理!」

「お声が大きいですよっ」

バンッと、愛理の部屋の扉を壊さん勢いで姿を見せた両親に、琴理は口元に指を立てて諫めた。

両親ともに琴理の姿を見てほっと息をついたあと、愛理の様子を悟ってしまったという顔になる。

「あ、――ああ、すまない」

「愛理は寝ています。……父様、母様、このたびは申し訳ありませんでした」

琴理がベッドのふちから立ち上がり頭を下げると、歩み寄った母がそっと琴理の肩に手を置いた。

「こちらこそごめんね、琴理。宮旭日様から、琴理をあちらへ、というお話は何度も来ていたのに……」

「そのことなのですが、……」

ちら、と琴理が父を見上げると、父は相変わらず難しい顔をしている。先ほどの大声が嘘のようだ。

「まあ……そうだ。なかなかお前を手放してやれなくて、すまなかった。宮旭日でのお前の暮らしぶりを聞いて、安心しているよ」

そう言う父は、少し困ったような笑みを見せた。

琴理の記憶にほとんどない、笑顔の父。

「ありがとう、ございます。戻られたら起こすと約束していましたので……愛理、起きられる?」

琴理は泣きそうになるのをこらえて、早口でそう言った。

声をかけながら軽く揺すると、愛理の瞼が動いた。

「ん……ね、さま……?」

「父様と母様が戻られましたよ」

「はーい……」

むくり、と起き上る愛理。

だが、まだ眠いのか瞼が開いたり閉じたりしている。

「もう少し寝ていますか?」

「いえ……起きます……」

愛理はそう言うも、意識は完全には覚醒していないようだ。頭が前後している。

そんな愛理の傍に風子が回った。

「愛理様、琴理様がいらっしゃるのは今だけですよ。存分に甘えるチャンスですよ」

風子がささやいたその言葉を聞いて(愛理の傍らにいた琴理にも聞こえていた)、愛理の目はぎらっと光った。