最強退鬼師の寵愛花嫁


「……わたしが家を出たことによる影響が、愛理にとっては悪い方に出ていますね。風子ちゃん、遠慮しないであげてもらえる?」

「かしこまりました。まず、不眠、食欲不振が顕著かと。情緒不安定になることは現在のところありませんが……」

「それで今ぐっすりなのですね……」

言いながら琴理は愛理の方を見て、かかっている布団を撫でた。

眠れないほど、食べられなくなるほどのショックだったわけだ。

こうなることは考えられたけれど、琴理が急に宮旭日の家に入ることになったため、フォローが出来ていなかった。

それもこれも、琴理の『独りよがりな善意』が暴走した結果だ。

琴理は、自分の浅はかさを責めずにはいられない。

「あの、大変失礼ではありますが、琴理様と愛理様の仲のよろしさは、何かきっかけがあるのでしょうか……?」

涙子の質問に、琴理と風子は顔を見合わせた。

「そうですね……わたしが小さい頃から、愛理が可愛くて祭り上げていたのもあると思います。愛理はすっとわたしに懐いてくれましたから」

「これといったきっかけがあるというよりは、琴理様と愛理様は、純粋にお互いを慕っているという感じでしょうか。それもすべては、琴理様が人として大きな器であられるからかと」

「風子ちゃん、わたしは狭量ですよ」

「そう仰られるあたりも、琴理様の器の大きさのあらわれだと私は思っております」

人として大きい。それに関しては同じことを涙子も思う。

悩むことも多いようだけど、いつも周りの人のことを念頭に置いている。

上に立つ者の資質は十分だ。

利己心しかない『上』は『下』にとって害悪をもたらす。

琴理はより多くを見ようとしている。

心護が退鬼師として誰からも認められている中、その傍らに立つのは琴理のような存在であってほしいと涙子は思う。

周りを見、知ろうとし、己の中に取り込んでいく。

涙子は、琴理と心護を支えていく立場であれることを、心の中に重く置いた。