「わあ!こんなに色んなお風呂がある!すごい、最高!」
「でしょー?まずはここから入りましょ。ジェットバスなの」
「はい。え、何これー?背中と腰にすごい水圧が。はあー、気持ちいい!凝りがほぐれる!」
「あはは!凛ちゃん、若いのに凝ってるのね」
「コリコリですよ。でも信じられない。750円でこんなパラダイスに入れるなんて!」
「そうなのよ。庶民のパラダイス!おばちゃんのサロン!」
「銭湯、バンザイ!」

二人は大盛り上がりで色んなお風呂を満喫した。

ミストサウナで肌を潤わせ、最後に手もみ処に行く。

時間がなくて15分のコースだったが、それでも凛は大満足で店に戻った。

「ただいま!勝さん、大丈夫でしたか?」
「お帰り。それが弁当一つも売れなかったよ」

ええー!と凛は驚く。

「凛ちゃんいないなら、あとで出直すって、みーんなすぐに帰っちゃってさ」

そういうことか、と妙が納得する。

「それならあんた一人で店番でも平気だね。凛ちゃん、来週も一緒に行こうよ。今度は『凛ちゃん不在中』って貼り紙してからさ」
「ええ?!お前、本気か?」
「当たり前でしょ?娘と一緒に銭湯に行く母親の楽しみ!もうどんな高級エステサロンに行くよりも幸せよー」

心底嬉しそうな妙に、勝治もヤレヤレと笑っていた。